横須賀中央眼科

改修前にクリニックを⾒せていただいたときは、開業して約四年⽬の頃であった。
当時の印象は今だからこそ⾔えるが、あまりにも寒々しく診療所然とした空間であった。
そのような環境にもかかわらずクリニックへ通う患者が多いのには驚いたが、それは院⻑の⼈柄とスタッフへの教育が⾏き届いていることが理由であることに気がつくのに時間はかからなかった。
さらに、クリニック開業時にかかった内装費を聞いて⼆度驚いた。⼯事単価が内容に⽐べあまりにも⾼くついていたのである。
聞けば全て医療コンサルタントに任せていた、と⾔う。
そこで、患者も今後増やしたいしスタッフの利便を考えて改修したいとのことであった。
狭い空間をいかに効率良く、患者並びにスタッフが動けるか、今のクリニックの暗い雰囲気をどのように健康的な空間に変えるか、が今回のテーマとなった。
まずは患者の待合室を改善する為に、現在常に降ろしていたカーテンを取り除きビル外壁の化粧ブロックの模様をシルエットとして⽣かせる様に、ガラスを半透明のくもりガラスに変えることを提案した。
インテリアのプランニングは「優しさ」を強調したかった為、曲線を基とした構成として仕上げは天然⽊を基本とした。既存のソファの張り地を張りかえることと、カーペットの⾊を調整することで明るいイメージをローコストで実現できるように考えた。
つぎに、スタッフのデスクワーク、カルテ管理については院⻑及びスタッフからヒアリングしてから受付カウンター内のレイアウトを提案した。
ここまでのスケッチを院⻑に⾒ていただき満⾜していただいた際に、せっかくだから天井も含めクリニック全体をコーディネートして欲しい、との話になってきた。
第⼀期⼯事はメインの受付、待合室、診察室の改修とし、⼆期で上階の⼿術室周りの改修を⾏った。
それから⼀年経ち、今度は患者が多すぎて今の待合室に⼊りきらず、外で待っている患者も多いとのことで、眺めの良い、ビルの最上階を借りて待合室兼リフレッシュルームをつくりたいとのご相談があった。
また、スタッフも増えた為、もうワンフロアを借りてスタッフ⽤のミーティングルーム、更⾐室などもそこにまとめることとなった。
こうして第三期改修⼯事が⾏われたが、最上階は「スカイラウンジ」と名づけられ、ドリンクサービスも完備した、このクリニックのアイデンティティーを具現化する空間となっている。
施主、スタッフに恵まれて、楽しく仕事ができたプロジェクトであった。

Architect:

location:

神奈川県

completion:

2005年5月

design cooperation:

M@works