横浜市港北区のエネルギー供給会社のオフィスにショールームを増築する計画が始まりました。
既存事務所を含むの敷地全体が市街化調整区域内にあり、
そこに増築しなくてはならない、というのが今回設計において最大の難関です。
現状合法に存在していることで我々にとって対処出来ないことはほぼありません。。。が、大変です。
そもそもなぜ、一般的に開発自体ができない市街化調整区域に既存事務所が建てられたのか。
先ず、日本全土の土地には都市計画法によって市街化調整区域か市街化区域かに分けられていて、
市街化区域にはさらに用途地域が設定され、建てられる建物用途が決まっています。
(例えば既存事務所の規模(3階建てRC造700㎡)の建物は1種住居地域以上規制の緩い地域でないと建てらない)
答は簡単で、「都市計画法により用途地域が規定される前から、そこに事務所を構え生業を営んでいた」事実があったからです。
ただし今回のように更にそこに増築となると、都市計画法による大枠規定の下に横浜市の条例規定があり、
それをクリアしなければなりません。
手続きは既存事務所が何時から建っていたか、この土地はどのように使われて来たか、を証明するところから始まります。
どのように証明するか。
過去に遡る航空写真、戸籍謄本、権利書、なんでも駆使しなければなりません。
そして、近隣にどのような用途の建物が建っているかを歩いて調査し、今回計画がこの地域にふさわしいかのレポートを出し、
市による建築審査委員会にて審議され
ようやく許可が下りて初めて建築確認申請に出すことができます。
建築審査委員会は月に1,2回しか設定されていないため、とてつもなく時間がかかります。
普通の設計の2倍も3倍も労力がかかります。
市街化調整区域に建築する、とはそういうことなのです。
もし、安い土地があったら注意してください。
市街化調整区域、土地の前面に道路が無い(これについては別のケースで説明します)、なんてことかもしれません。
このプロジェクトは行政と3か月程かけて粘り強く交渉し、
ほぼ下打合せが終わり、建物の基本設計や構造計算も終わって、建築審査会に掛かる段階で
施主サイドのご都合で無期限ペンディングとなってしまいました。
出来ていればきっとこのような姿となっていたでしょう。
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